エジプトにおけるイスラム教とは



エジプトは、[国民の90%がイスラム教スンニ派の信者] というイスラム教国です。
イスラム教は、西暦7世紀にアラビア半島に現れた宗教です。
ユダヤ教やキリスト教などの先行する宗教と同じ流れをくんでいます。

イスラム教の5つの柱「アル・アルカーン・アル・ハムサ(5つの柱)」は、エジプト人の生活に深く根付いています。
 1.シャハーダ
 2.礼拝
 3.ザカート(喜捨)
 4.断食
 5.巡礼

エジプトでよく聞く「アッラー」とは、アラビア語で「唯一の神」という意味です。

「インシャーアッラー(神の思し召しのままに)」は、エジプト人が好んで口にする言葉です。
誰かに何か頼みごとをすると、この言葉が返ってきます。
タクシーに乗って行き先を告げた後にも、この言葉を添えることがあります。

「人間の能力には限界があるので、未来のことは神のみぞ知る」という意味で使います。
エジプト人の無責任さを示す言葉として引用されることも多々ありますが、人間が己の分をわきまえないことを戒めるムスリムの教えなのです。

「アル・ハムドゥリッラー」は「おかげさまで」といったニュアンスでよく口にされます。
エジプト人は、「良いことも悪いことも、神のおかげ(運命)」と考えています。
「元気?」ときいて「アル・ハムドゥリッラー」と返事されても、元気だとは限りませんから気をつけましょう。

エジプトでは、「アッラー」を含んだフレーズを何度も耳にするはずです。
エジプト人の多くは、時間にルーズで、平気で約束の時間に遅れてきます。
でも、いちいち腹を立てていてはエジプトでは暮らしていけません。

「インシャーアッラー」
人間には限りがあるのですから、のんびり構えていこう!
こういう気持ちで、ゆったりとエジプトを旅してこそ、この国の魅力を理解できます。

「郷に入れば郷に従え」ということです。
そうしてこそ、本当のエジプトを楽しめるでしょう。
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エジプトの断食は人それぞれ



エジプトでは、第9月のラマダーン月に、断食します。

太陽が昇ってから沈むまでの間、一切の飲食は禁止です。
断食は、イスラム教徒の義務のひとつです。

どれだけ真面目に断食しているのか、興味深いですよね。
結論だけ言うと、「人それぞれ」です。
 ・飲食はしない人
 ・タバコも吸わない人
 ・唾を飲み込むこともしない人
病人、妊婦、旅人は断食を免除されます。

日中はレストランが休みになったりして、旅行者といえどもエジプトにいる限りは、ラマダーンの影響を受けます。
思わぬとばっちりを受けることもあります。

お腹がすくと、誰でもイライラするものです。
宗教的義務とはいえ、断食はつらいもの。
自分たちが食べられないのに、観光客が平然と食べ歩きをしていると、いらぬ喧嘩を招くもとです。

日没を知らせる合図と共に、食堂はエジプト人で溢れます。
この時間帯のカイロの帰宅ラッシュは、まさに地獄です。
誰もが仕事を早々に切り上げて、自宅へ直行するからです。

日没後の食事は「イフタール」と呼ばれます。
食堂によっては、この時期だけの特別メニューを出します。
イフタールを平らげたあとの街は、お祭り騒ぎになって、大人も子供も楽しそうです。

ラマダーン限定の激甘お菓子もあります。
この時期にエジプトを訪れたなら、ぜひ試してみてください。

夜遅くまで楽しく飲み食いし、深夜に床につきます。
そして、夜が明ける前に食事です。
これを食べそこなったら、一日中空腹で泣きたくなってしまうでしょう。
夜明けを知らせる太鼓の音と共に、またラマダーンの一日が始まります。
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イスラム暦とは



エジプトはイスラム教国なので、西暦とイスラム暦(太陰暦)の二つが使用されています。

エジプトの通常の生活は西暦によります。
しかし、イスラムの習慣で一週間は土曜日から始まり、金曜日が休日です。

イスラム暦は、ヒジュラ暦ともいい、一年が354日です。
年に11日ほど太陽暦とずれていきます。
ヒジュラというのは、「移住」という意味です。
預言者ムハンマドがメッカからメディナへ移住した年を起元元年としています。
エジプトでは、現在は、イスラム教の行事のときのみ利用されます。


■ ラマダーン

イスラム教の行事の中で、最もよく知られているのは、『ラマダーン』でしょう。
ラマダーンとは、イスラム暦の9月の断食月です。
ラマダーンのときには、日の出から日没まで、一切の飲食が断たれます。

太陽が出ていないときには、もちろん食べていいわけで、昼間の断食の反動でめいっぱいのご馳走が並びます。
ただでさえ強烈な甘さのエジプト菓子は、輪をかけてものすごい甘さになります。
日没後の食事のあと、近所の人を訪問しあったり、街へ出たり、エジプトのナイトライフは大賑わいです。
夜中まで賑やかに過ごしたあと、日の出前に最後の食事「朝食」を食べます。
そして、ちょっと仮眠して仕事に行きます。

ラマダーン期間は、エジプト人たちは慢性的な寝不足に陥ります。
また、夕方は、食事めがけて突進するエジプト人たちでカイロの町は戦場のような混雑となります。

ラマダーン時期は、エジプト国民の大部分を占めるイスラム教徒が断食をするので、生活時間帯が通常の時間帯とずれます。
労働時間も短くなります。
レストランの営業時間も変わり、日没後から夜遅く深夜3時ころまでのところもあります。
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イスラム教とコプト教の美術



エジプトは、イスラム教スンニ派が国民の90%を占め、キリスト教コプト派が7%を占めています。
ですから、エジプトの美術には、両者の流れが伝統として息づいています。

■ コプト美術
エジプトはイスラム教国ですが、アラブ人がエジプトを征服する以前は、現在のエジプト地域一帯にはキリスト教が広まっていました。
3世紀以降に、土着のエジプト人の間に広まったコプト教です。

この時期のキリスト教化したエジプト美術を、コプト美術といいます。
ヘレニズム、ローマ、ビザンチンの各様式を折衷しているのが特徴的です。

コプト美術の代表的な建築物には次のものがあります。
 ・ケナー近郊のデンデラの『バジリカ式聖堂』
 ・ソハーグの『白い修道院』と『赤い修道院』


■ イスラム美術
アラブ人のエジプト征服で、エジプト・イスラム美術は花開きました。
首都カイロが建設されたのは、10世紀のファティーマ朝時代です。
この時期に『大モスク』などのイスラム風建築が次々と建設され、エジプトは急速にイスラム化していきました。

12世紀後半からのアイユーブ朝時代には、カイロからフスタートまでを囲む城壁が建設されました。
軍事的建造物が発達した時代です。

16世紀になりトルコ支配が強まると、カイロの芸術家たちはトルコのイスタンブールへ移されることになり、エジプトの芸術は衰退の道をたどりました。


カイロは、世界遺産に指定されている都市です。
イスラムの建造物には1300年以上もの歴史があり、間の流れが止まったように、カイロにはさまざまな時代の建造物が集結しています。

微妙に異なる様々な建築様式をたどってみるのも、カイロの歩き方のひとつですね。
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エジプトの時間とは



エジプトを旅していると、どこからともなくお経のような肉声の響きが流れてきます。
異国情緒に駆られる瞬間です。

これは『アザーン』といい、イスラム教の礼拝への呼びかけです。
キリスト教の鐘のような役割をします。
肉声で行なわれているところが、いっそう趣き深く感じられます。

「神は偉大なり」という意味の「アッラー・アクバル」を4度の繰り返し、一日5回の礼拝時間が近づいていることをムスリム(イスラム教徒)に知らせます。
モスクのスピーカーから呼びかけられます。
イスラム教徒にとっては時計代わりの存在で、生活に根付いています。

蛇足ですが、現代エジプト人の半数はアザーンに応えません。
どの国でも、信仰心が欠如しているのが現状ですね。


エジプトには3つの時間がある、と考えるとわかりやすいでしょう。
 ・夏時間
 ・冬時間
 ・ラマダーン時間


エジプトではイスラム教の習慣により、一週間は土曜日から始まって、休日は金曜日です。
現在、店の定休日はほとんど日曜日ですが、なかには金曜日が定休日ということもあります。
観光でエジプトを訪れる人にとっては、目当ての店が休みというのはなんとも悲しいものですね。

夏の暑さが厳しいエジプトでは、夏の営業時間は9:00〜13:00と17:00〜20:00になります。
昼間は休みですから、注意しましょう。

ラマダーン時間にも注意が必要です。
年に一回のイスラム暦ラマダーン月には、国民の大半を占めるイスラム教徒が断食に入ります。

レストランは夕方から深夜までの開店となることがほとんどです。
なかには、ラマダーン時期に丸々1ヶ月間休業というレストランさえあるそうです。
幸いにも、わたしはエジプトでそういう店には当たったことがありませんが…。
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エジプトにおける宗教上のタブー



エジプトは、イスラム教の国です。
イスラームのモスクは、イスラム教徒ではなくても非常に興味深いところです。
芸術性の高い装飾は、たいへん美しいものです。
しかし、あくまでもわたしたちは観光客ですから、地元のエジプト人たちの生活を乱してはいけません。
イスラームの寺院などの宗教施設を訪れるときには、服装に注意しましょう。
肌が露出した服装はタブーです。

エジプトは非常に暑い国ですが、街中を歩くときも肌を露出する服装は避けましょう」

…このような注意が、いろいろなガイドブックに書かれていますね。
それでも、これ見よがしに短パンとタンクトップの日本人女性を多く見かけます。
西洋人は、信じられないくらいの露出で街中も遺跡も歩き回っています。
しかしわたしたちは、彼らの真似をせず、エジプト人の宗教観に敬意を示した服装をしましょうね。
現地のエジプト人の好意を得られるので、親切にしてもらえますよ。

現地の人を見ていても、直射日光に肌を直撃される服装はしていません。
暑くても、軽く薄いものを羽織っていたほうが涼しく感じられます。
エジプト人が着ているようなガラベイヤは、当地の気候を知り尽くしたすぐれものなのです。

また、モスクでは金曜日は礼拝が行なわれています。
カイロの「ガーマ・アズラク」では、13:00〜15:00は礼拝の時間です。
観光客は入場を控えましょう。

イスラム教では、原則として飲酒は禁止されています。
エジプトは比較的規則が緩やかなので、ステラビールや、オマル・ハイヤームワインなど、街角で買うことができます。
レストランでもアルコール類を置いています。
それでも、特にラマダーンの断食月には、ほとんどのエジプト人はアルコールを飲みません。
観光客といえども、おおっぴらにお酒をあおるようなことは避けましょう。

アルコールに限らず、ラマダーンの期間には、日中、食べ物を持って街中をうろつくことも避けましょう。
現地のエジプト人が、不快に感じます。
エジプトでは、エジプト人の価値観を尊重すべきですよね。
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エジプトの祝日と祭り



エジプトイスラームの国なので、祝日もイスラム教の行事と強く結びついています。

■ イードル・フィトル
ラマダーン(イスラーム暦第9月、断食月)が終わると、イードル・フィトルと呼ばれる祭りが行なわれます。
断食明けの祭りで、3日間続きます。
普段離れている親戚に会いに行く、ご馳走を作る、といった感じです。
特別に何をするというわけではありませんが、血縁を何よりも大切にするエジプト人にとっては大切な祭りです。
日本の盆や正月など感覚でしょう。

■ イードル・アドハー
イスラーム暦第12月、巡礼月の祭りです。
イードル・アドハーは、第12月の10日に、巡礼が無事終わったことを神に感謝して羊やらくだを屠る儀式を行ないます。
犠牲祭です。
巡礼に行ったものだけではなく、故郷にいる人も羊の首を切り、みんなで食べます。
この間は長い休みになりますから、日本のゴールデンウィークのようなものです。

しかし、祭り前夜には、街のいたる所でつながれた羊の悲痛な姿を目にします。
自分の身に何が起こるのか、という恐怖に怯えた声で鳴いています。
次の日に、殺人現場のような血みどろの道を歩く時、イスラム教徒ではないわたしたちは、悲しさと不快さが入り混じった気持ちになってしまいます。
「異国にいる」と感じる瞬間です。

エジプトイスラム教徒が90%を占める国ですが、国民の7%はコプト教信者です。
プロテスタント信者もいます。
コプト教の祭りも、イスラームの祭りと同様に「マリウド」と呼ばれていて、エジプト各地の修道院で行なわれています。
しかし、コプト教の祭りはイスラームの場合と異なり、聖人の死亡日を記念するものです。

宗教的な祭典とは別に、公共の祭典というものもあります。
「イートル・カウミ」はそのひとつです。
かなり政治色の強いもので、県ごとに住民が伝統民謡や伝統舞踊を披露します。
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